赤ワインを炭酸水で割った飲み物を何と呼ぶか、迷ったことはありませんか。お店で注文する時も、どう言えばいいか分からないという方もいるでしょう。
実は、この飲み物には世界各国でさまざまな呼び方があります。日本でよく知られているのは「スプリッツァー」ですが、それ以外にも魅力的な名前が存在するのです。
国によって名前が違うのは、それぞれの文化や気候に合わせて飲み方が発展してきたから。暑い国では爽やかな飲み物として親しまれ、寒い国では軽やかな食前酒として楽しまれています。ワインと炭酸の組み合わせが生む新しい味わいを、各国の呼び名とともに探ってみましょう。
赤ワインを炭酸で割った飲み物の正式名称は?
赤ワインを炭酸で割った飲み物について、まずは基本的な名称から確認していきます。意外にも、この飲み方には長い歴史があり、世界中で親しまれているのです。
一般的に使われる「スプリッツァー」という名前
日本で最もよく知られているのが「スプリッツァー」です。この名前はドイツ語の「spritzen(はねる、飛び散る)」が語源とされています。炭酸が弾ける様子から名付けられたと言われているのです。
スプリッツァーは主に白ワインで作られることが多いのですが、赤ワインで作る場合も同じ名前で呼ばれます。特に区別したい場合は「レッドワイン・スプリッツァー」と言うのが一般的。日本のバーやレストランでこの名前を使えば、ほぼ間違いなく通じるでしょう。
ただし、厳密に言うとスプリッツァーは北米やイギリスでよく使われる英語表現です。ヨーロッパの各国では、また別の呼び方が存在します。
国によって異なる呼び方の違い
世界を見渡すと、赤ワインと炭酸の組み合わせは驚くほど多くの地域で愛飲されています。しかし、それぞれの国で独自の名前が付いているのが興味深いところです。
ヨーロッパでは特に多様な呼び方があり、その土地の言語や文化が反映されています。単純に「炭酸割り」という意味を持つ名前もあれば、季節や飲むシーンを表現した名前もあります。
これらの違いは、単なる言語の違いだけではありません。作り方や使用する炭酸水の種類、一緒に加える材料なども微妙に異なることが多いのです。そのため、名前を知ることで、その国の飲み文化も理解できるようになります。
スプリッツァー以外にもある!世界各国での呼び名を紹介
ここからは、世界各国で使われている様々な呼び名をテーブルで整理してご紹介します。それぞれの名前には、その国の文化や気候が反映されているのが分かるでしょう。
国・地域 | 呼び名 | 特徴・意味 |
---|---|---|
スペイン | ティント・デ・ベラーノ | 「夏の赤ワイン」という意味 |
ドイツ | ショルレ | 炭酸水で薄めたワインの総称 |
オーストリア | ゲシュプリッツター | ドイツ語圏の伝統的な呼び方 |
フランス | ヴァン・ペティヤン | 微発泡ワインを指すこともある |
イタリア | ヴィーノ・フリッツァンテ | 泡立つワインという意味 |
スペインの「ティント・デ・ベラーノ」
スペインでは「ティント・デ・ベラーノ」と呼ばれています。直訳すると「夏の赤ワイン」という意味で、暑い季節にぴったりの爽やかな飲み物として親しまれているのです。
この名前が示すように、スペインでは主に夏の暑い日に楽しまれます。海辺のバルや屋外のテラス席で、軽い前菜と一緒に飲むのが定番。赤ワインと炭酸水を1対1の割合で混ぜ、レモンスライスを加えるのが伝統的な作り方です。
スペインの強い日差しの下では、普通の赤ワインでは重すぎると感じることがあります。そんな時に炭酸で割ることで、赤ワインの豊かな味わいを残しながら、軽やかで飲みやすい仕上がりになるのです。
ドイツの「ショルレ」とその特徴
ドイツでは「ショルレ」または「ヴァインショルレ」と呼ばれています。ショルレは炭酸水を意味するドイツ語で、ワインと炭酸水を混ぜた飲み物全般を指す言葉です。
ドイツのワイン文化では、ショルレは日常的に楽しまれている飲み物。特にラインランド地方やモーゼル川流域では、地元のワインをショルレにして飲むのが一般的です。赤ワインのショルレは「ロートヴァインショルレ」と呼ばれることもあります。
ドイツ人にとってショルレは、単なるカクテルではなく、ワインを気軽に楽しむための方法。アルコール度数を下げることで、昼間からでも罪悪感なく飲めるというメリットもあります。ビアガーデンならぬ「ワインガーデン」でも、ショルレは人気メニューの一つです。
赤ワインと炭酸を混ぜる飲み方の歴史と由来
この飲み方がいつから始まったのか、その歴史を辿ってみましょう。実は、ワインと炭酸を組み合わせる文化は、私たちが思っているよりもずっと古いものなのです。
ヨーロッパで生まれた文化的背景
ワインと炭酸水を組み合わせる飲み方は、19世紀のヨーロッパで本格的に広まったとされています。当時、天然炭酸水の効能が注目され始め、健康的な飲み物として人気を集めていました。
特にドイツやオーストリアでは、温泉地で湧き出る天然炭酸水が豊富。これらの地域では、地元のワインと天然炭酸水を組み合わせる飲み方が自然に発達しました。貴族や富裕層の間では、食前酒として楽しまれることも多かったようです。
また、当時のワインは現在よりもアルコール度数が高く、濃厚な味わいのものが主流でした。炭酸水で割ることで飲みやすくなり、より多くの人に親しまれるようになったという背景もあります。
日本での普及と受け入れられ方
日本にこの飲み方が伝わったのは、戦後の西洋文化流入とともにでした。1960年代以降、洋酒バーやホテルのラウンジなどで提供されるようになり、徐々に認知度が高まっていきます。
当初は「スプリッツァー」という英語名で紹介されることが多く、現在でもこの名前が最も一般的。日本人の味覚に合わせて、甘口のワインを使ったり、フルーツを加えたりとアレンジも生まれました。
最近では、ワインの消費量増加とともに、家庭でも気軽に楽しまれるようになっています。特に夏場のホームパーティーや女子会などで、おしゃれな飲み物として人気を集めているのです。
基本的な作り方と美味しく飲むためのコツ
せっかく名前を覚えたなら、実際に作って楽しんでみましょう。基本的な作り方は簡単ですが、ちょっとしたコツを知ることで、より美味しく仕上げることができます。
赤ワインと炭酸水の理想的な割合
基本的な割合は、赤ワイン1に対して炭酸水1です。つまり50:50の割合で混ぜるのが最もスタンダード。ただし、好みに応じて調整するのも全く問題ありません。
ワインの風味をしっかり感じたい場合は、ワイン6:炭酸水4の割合がおすすめ。逆に、より軽やかに仕上げたい場合は、ワイン4:炭酸水6にしてみてください。季節や気分、一緒に楽しむ料理に合わせて調整するのも楽しみ方の一つです。
氷を入れる場合は、先に氷をグラスに入れてからワインを注ぎ、最後に炭酸水を加えます。この順番を守ることで、炭酸が抜けにくく、最後まで爽やかな口当たりを楽しめるでしょう。
おすすめの赤ワインの種類と炭酸水の選び方
赤ワインは、軽めから中程度のボディのものが最適です。具体的には、ピノノワールやガメイ、軽めのメルローなどがよく合います。重厚なカベルネソーヴィニヨンやシラーは、炭酸で割るとバランスが崩れることがあるので注意が必要です。
価格帯としては、1000円から2000円程度のカジュアルワインで十分。高級ワインを使う必要はありません。むしろ、フレッシュで果実味豊かな若いワインの方が、炭酸との相性が良い傾向があります。
炭酸水は、無糖の普通のものを使うのが基本。微炭酸よりも強炭酸の方が、ワインの味を引き立てる効果があります。レモンフレーバーの炭酸水を使うと、より爽やかな仕上がりになるので、夏場には特におすすめです。
炭酸割り以外の赤ワインベースカクテルも知っておこう
赤ワインの炭酸割りを楽しめるようになったら、他のバリエーションも試してみませんか。世界にはまだまだ面白い赤ワインカクテルが存在します。
コーラで割る「カリモーチョ」の魅力
スペイン発祥の「カリモーチョ」は、赤ワインとコーラを1:1で混ぜた飲み物です。一見すると奇抜な組み合わせに思えますが、実は絶妙なバランスが取れた美味しいカクテルなのです。
コーラの甘さと炭酸が、赤ワインの渋みを和らげ、飲みやすい仕上がりに。若者を中心に人気が高く、スペインの夏祭りやビーチパーティーでは定番の飲み物となっています。日本でも徐々に知名度が上がってきており、カジュアルな場面で楽しまれているようです。
作り方は簡単で、氷を入れたグラスに赤ワインとコーラを同量注ぐだけ。レモンスライスを添えると、より本格的な仕上がりになります。甘めの飲み物が好きな方には、特におすすめのカクテルです。
フルーツを加える「サングリア」との違い
サングリアも赤ワインベースの人気カクテルですが、炭酸割りとは全く異なる飲み物です。サングリアはフルーツをたっぷり加えて、数時間から一晩寝かせて作るのが特徴。時間をかけることで、ワインとフルーツの味が一体になります。
一方、炭酸割りは作ったらすぐに飲むのが基本。フレッシュな炭酸の刺激を楽しむためです。サングリアが「じっくり味わう」飲み物なら、炭酸割りは「爽やかに楽しむ」飲み物と言えるでしょう。
どちらも赤ワインの新しい楽しみ方を提案してくれる素晴らしいカクテル。シーンや気分に合わせて使い分けると、ワインライフがより豊かになります。パーティーではサングリア、リラックスタイムには炭酸割りといった具合に、使い分けを楽しんでみてください。
まとめ
赤ワインを炭酸で割る飲み物には、世界各国で様々な呼び名があることが分かりました。スプリッツァー以外にも、ティント・デ・ベラーノやショルレなど、その国の文化が反映された魅力的な名前が存在します。これらの知識があれば、海外旅行での注文も自信を持ってできるでしょう。
何より大切なのは、名前を覚えることよりも実際に味わってみることです。季節や気分に合わせてワインと炭酸水の割合を変えたり、異なる産地のワインで試したりすることで、自分好みの一杯を見つけられます。カジュアルなワインの楽しみ方として、ぜひ日常に取り入れてみてください。
